ISSUE / のりゆき論点(編集長コラム)

編集長がジャンルを超えた論点に迫ります

【01】なぜテレビがおもしろくないのか

日本のテレビ局よ、オバマの最後の記者会見を肝に銘じよ。


 

 
最近のテレビの報道番組やワイドショーを見ていて悲しくなる事が多い。
 
司会者やコメンテーターが安倍政権の意向を、いわゆる今流行りの言葉にすると、「忖度(そんたく) して、おとなしくなったからです。いや、そういう人達を起用し、政権批判をしない自粛があるよ うに見えるからです。コメンテーターの中には御用学者ならぬ御用コメンテーターと言われても仕 方がない人達がもっともらしく意見を述べています。そんなゲストコメンテーターを、NHKのみな らず民放各局の番組制作者達は重用し、御用コメンテーター達は引っ張りだこです。 2014 年年末の衆院選前に、自民党はテレビキー局各社に公平に報道するよう要請しました。政権与 党である自民党は、テレビ局の担当者に出演者の選定にまで踏み込むなどの干渉をしたのです。 これではテレビ局は民放といえども政府の広報局となり下がるのです。
 
ニュースキャスターが自分の番組で自分の考えを述べて、それが政権の批判になっても表現の自由 であって、問題はありません。放送法にうたわれている「政治的に公平」「不偏不党」を侵害するも のではありません。各局が、各番組が、各キャスターが、各コメンテーターが自らの意見を述べて 視聴者に向き合う事が大事なのです。
 
私が長年キャスターをつとめた番組「のりゆきのトークDE 北海道」は、視聴者の中から「おまえ の番組は公平性を欠いている」と抗議の電話を受ける事もありましたが、そんな時スタッフは「私 達は私達の意見を伝えているのです」と応え堂々としていたものです。あの頃は表現は今より自由 だったのでしょうか。いえいえ、それが私達の番組を作る毅然とした姿勢だったと思うのです。
 
そもそも、「公平」っていったい何でしょう。賛成意見と反対意見を同時に扱う両論併記の放送が公平ということではありません。
 
国会で高市総務大臣が、放送局が政治的公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送 法4条違反で、電波法76 条に基づき電波停止を命じる事ができると言及して以来、特にテレビ番組 環境が自由で大らかさが失われてしまったのではと思うのです。放送法第4 条( 例えば、政治的に 公平であること。意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかに すること。など) は、外からの放送への介入ではあってはならず、放送局が自らを律する倫理規定な のです。
 
オバマ前アメリカ大統領は最後の記者会見で、民主主義における報道の自由の重要性を記者団に 説き、「報道人は巨大な権力者に批判的な目を向け、市民に対する説明責任を果たす役割がある。記 者の皆がいたおかげで、ホワイトハウスはより良く機能した。粘り強く真相を探る報道姿勢を貫き、 この国が最善となるよう努力してほしい。」と、権力監視をするよう求めました。
 
御用コメンテーターを並べ、政権に対して不都合な事を言わないキャスターや司会者が重用され るというのなら、日本のテレビ局が、政府への忖度で、言論や表現が放送現場の中から萎縮してい る表れです。そうなら、日本のテレビの危機は深刻です。